コメント

『恋とボルバキア』にはいろいろな愛がある。
女装の男性に恋したレズビアン、
女性の恋人と同棲する男性に恋した女装の男性(既婚者)、
愛する人の女性化に戸惑う家族や恋人、
妻子を愛しながら女装で解放される中年男性……
人の生も性も愛もそれぞれだ。
でも彼らは幸せを思った時、涙をこぼす。
人が思う幸せのかたちがいまだに似通ってるせいだ。
幸せのかたちもひとつじゃないはずなのに。

町山智浩
映画評論家

性同一性障害はほんとは障害じゃない。なぜなら性別は、
サピエンスが作り出した虚構フィクションにすぎないから。
その虚構の谷間に迷い込んだ正直な人々の物語。
自分の性別がはっきりしていると信じているすべての人が見るべき映画。
それにしても監督はボルバキアなんてよく知っていましたね。
ボルバキアは宿主の性を変えてしまう不思議な寄生生命体。

福岡伸一
生物学者

「わがまま」。
社会が期待する「男」「女」の役を引き受けない人は、そう言われがちだ。
けど、上等だ。自分のままで生きたい、「我がまま」愛され、愛したい。
そんな必死のワガママが、人を、どうしようもなく生かすのだから。

牧村朝子
文筆家

女の子扱いされるのは嫌だったけど、男を強要されるのもしんどかった。
こんな僕って一体何なんだろう?
探して、探して、探して。見つかった答えはとてもシンプルだ。
僕は僕以上でも以下でもない、僕だったのだ。
最近また少し忘れていたけど、この映画を見て思い出した。

杉山文野
トランスジェンダー活動家

性別は「男・女・その他」の3つでなければ、大事な関係性は「家族・恋人・友達」なんて単純に区切れない。
「ちがい」は、良い・悪いでなくすでにあって、その社会をどう生きていくのか、誰と生きていくのか、問われているのだと思った。

藥師実芳
NPO法人ReBit代表/トランスジェンダー

「愛されたいし、愛したい」
今ある姿の多様性をどんなに肯定、称賛しても、望む幸せはみんな同じ。
だからヒリヒリと、胸に涙が溜まっていく。
果たして世の中に願う『カラフル』とは何か? 自らに問う疑問でもある。

鈴木信平
「男であれず、女になれない」小学館 著者

『恋とボルバキア』がフジテレビのドキュメンタリー番組『NONFIX』から生まれたことを、とても嬉しく誇らしく思います。
「世界には男と女しかいない」
「男は女を、女は男を好きになるのが自然」
今もそう信じているあなた、この映画はあなたのためにあります。

阿部知代
フジテレビ報道局/LGBTアライ

こんな映画が劇場公開される時代がくるなんて、20年前、私たちの世代は思いもしなかった。
多様な「性」をもつ若い人たちには、たとえ今が辛くても、がんばって生き抜いてほしい。
10年後、20年後はきっともっと良い社会になることを信じて。

三橋順子
トランスジェンダー、明治大学非常勤講師「ジェンダー論」担当

セクシャリティの葛藤。マイノリティにならざるを得ない社会。
その中で一人一人が嘘なくしっくりと生きて幸せになろうと模索していく生き様が「人間らしくて」リアル。
このドキュメンタリーは是非色々なジャンルの「人種」にみていただきたい!

IVAN(アイヴァン)
モデル/タレント

ボクらは無色透明だ。だけども彩り豊かな気になっている。何色でもあって、何色でもない。虹色でもない。ボクらはたまに勘違いする。これは、そんな彼らが何色かを探す物語。そして、これを見る人々が自分たちの無色透明さに気付く物語。

大島 薫
作家/タレント

もう恋愛する気はない私ですが、この映画を観たら、うーんいいもんだなあと思いました 。
私が経験したどのケースよりも真摯なそれでいっぱいです。

内田春菊
漫画家・作家

I can't stop loving you! 人と人が繋がる最大の強度は恋愛である。LGBTであろうが、性同一性障害であろうが、ノンケであろうが、老いようが、人は人を愛さずには生きられない。本作は、愛し愛されたいと切実な欲望を持つ者こそが、生の深淵に触れることができることを描ききった傑作である。

原 一男
映画監督